Amazon出品者のインボイス制度と消費税の基本|登録の判断材料・手数料の請求書・特例
インボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとでも、Amazon出品者に適格請求書発行事業者の登録が一律に義務づけられているわけではありません。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則として消費税の納税義務が免除されますが、登録を受けると売上規模にかかわらず課税事業者になります(国税庁)。Amazon公式のヘルプも、免税事業者の登録と、登録番号のセラーセントラルへの入力は任意としたうえで、Amazon Businessなど法人・個人事業主の購入者への影響を踏まえて判断するよう案内しています。課税事業者になった場合、FBA手数料などに係る消費税は、Amazonがセラーセントラルで提供する請求書を保存して仕入税額控除の対象にしますが、個別の税務判断は必ず税務署か税理士に確認してください。
インボイス制度の概要と、出品者に関係する部分
国税庁タックスアンサーNo.6498によると、令和5年10月1日から、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が始まっています。この方式では、一定の事項が記載された帳簿と「適格請求書(インボイス)」等の保存が、仕入税額控除の要件になります(令和8年4月1日現在法令等)。
出品者に関係する要点は次のとおりです。
- 適格請求書は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者でなければ交付できない
- 登録番号は、法人番号を有する課税事業者は「T+法人番号」、それ以外の課税事業者は「T+13桁の数字」で、国税庁の公表サイトで公表される
- 登録を受けた事業者は、取引の相手方(課税事業者に限る)の求めに応じて適格請求書等を交付し、その写しを保存する義務を負う
- 登録を受けた課税事業者は、基準期間の課税売上高にかかわらず、消費税の納税義務が免除されない
消費税の納付税額は、国税庁のインボイス制度特設サイトの説明のとおり、「売上げ時に受け取った消費税額」から「仕入れ等の際に支払った消費税額」を差し引いて計算します。この差し引きが仕入税額控除であり、インボイスはその金額が正しいことを確認するための書類という位置づけです。
免税事業者か課税事業者かの判定基準
国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」は、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、原則として納税義務が免除されるとしています。基準期間は、個人事業者はその年の前々年、事業年度が1年である法人はその事業年度の前々事業年度です。ただし、1,000万円以下でも免除されない場合があります。
| 免除されない主な場合 | 内容(国税庁No.6501) |
|---|---|
| 適格請求書発行事業者の登録を受けている | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されない |
| 特定期間の課税売上高が1,000万円を超える | 特定期間は、個人事業者はその年の前年の1月1日から6月30日まで、法人は原則として前事業年度開始の日以後6か月。課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできる |
| 課税事業者選択届出書を提出している | 提出して課税事業者となっている課税期間は免除されない。原則として課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻れない |
| 新設法人で資本金が大きい | 事業年度開始の日の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の法人などは、基準期間がなくても免除されない |
Amazonでの課税売上高は、Amazonセラーセントラルのヘルプ「インボイス制度導入への対応について - よくある質問」によると、セラーセントラルの「レポート>支払い>一覧」で確認できます。個人向けの注文もAmazon Businessの注文も課税売上の対象で、Amazon以外の国内売上も含めて判定する点に注意してください。同ヘルプは、Amazonはストアを提供するだけであり、購入者から消費税を徴収する責任と納税義務は出品者に帰属するとも説明しています(2026年9月時点・Amazon公式)。
売上が伸びている時期は特定期間の判定にもかかり得ます。売上の推移はAmazon出品者の確定申告と開業手続きとあわせて、毎年同じ時期に確認する運用にしておくと見落としを防げます。
BtoC中心の出品者は登録すべきか:判断材料
登録するかどうかは事業者ごとの判断であり、この記事で結論を出すことはできません。公的機関とAmazon公式の公開情報から、判断材料になる事実を整理します。
Amazon公式が示している事実
- 免税事業者の出品者は、適格請求書発行事業者の登録は任意で、登録番号のセラーセントラルへの入力も任意
- 登録番号を取得していない出品者も、制度施行後、引き続きAmazonで販売できる
- 影響が出得るのは、Amazon Businessを利用している法人・個人事業主の購入者と、法人用途で購買する一部の購入者。税額控除を求める購入者は、適格請求書を発行できる販売事業者を選ぶ可能性がある
- Amazon出品サービスで販売している商品は、Amazon Businessの購入者にも同時に販売される
- 登録番号を登録した出品者の商品に表示されるバッジや検索フィルターは、Amazonのビジネスアカウントの購入者にのみ表示される
国税庁が示している事実
買手の側には経過措置があります。国税庁のインボイスQ&A 問113によると、免税事業者等からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できます。令和8年度税制改正で期限が延長され、割合は次のとおりです。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 令和5年10月1日から令和8年9月30日まで | 仕入税額相当額の80% |
| 令和8年10月1日から令和10年9月30日まで | 仕入税額相当額の70% |
| 令和10年10月1日から令和12年9月30日まで | 仕入税額相当額の50% |
| 令和12年10月1日から令和13年9月30日まで | 仕入税額相当額の30% |
つまり、法人購入者が免税事業者の出品者から買った場合でも、当面は消費税相当額の全額が控除できなくなるわけではありません。一方で割合は段階的に下がります。判断の軸は次の3点です。
- 自分の売上のうち、法人・個人事業主の購入者(Amazon Businessを含む)がどの程度を占めるか。事業用途で購入されやすい商品を扱っているほど、影響を受けやすいと考えられる
- 登録して課税事業者になった場合の納税額と事務負担。後述の簡易課税や2割特例・3割特例を使えるか
- 登録しない場合に、価格や品ぞろえで法人購入者に選ばれ続けられるか
取り扱いカテゴリーの規模感をつかむには、53カテゴリの市場規模やカテゴリ別売れ筋ランキングも参考になります。
登録番号のセラーセントラルへの登録とAmazon Business
Amazon公式ヘルプによると、課税事業者で適格請求書発行事業者の登録を行う出品者は、登録番号のセラーセントラルへの入力が必須です。入力された番号をもとに、出品者に代わってAmazonが購入者向けの請求書を発行し、購入者は注文履歴からインボイスをダウンロードします。ビジネスアカウントではない購入者も、番号を正常に登録した出品者から購入した場合は注文履歴からダウンロードできます。
- 国税庁に登録申請を行い、登録番号の通知を受ける(e-Taxでの申請が案内されている)
- セラーセントラルに登録している正式名称/販売業者名と会社住所が、国税庁の公表サイトの登録情報と同じであることを確認する
- セラーセントラルに登録番号を入力する。出品アカウントに登録している出品者名で登録した番号である必要があり、一致しない場合は無効となって請求書に表示されないことがある
- 番号が却下された場合は、名称・住所と、国税庁のサイトで番号が確認できるかを見直し、解決しなければAmazonテクニカルサポートに問い合わせる
同ヘルプでは、登録番号は「税金の設定」ページで削除・編集できること、1つの会社に属する複数の出品用アカウントには同じ登録番号を入力すること、貸方票・領収書・納品書はインボイスとして使用できないことも案内されています。購入者からインボイスの再発行を求められた場合は、購入者からカスタマーサービスに連絡してもらう運用です。画面の名称や手順は変わることがあるため、作業前にセラーセントラルの税務関連ヘルプを確認してください。
Amazon手数料に係る消費税とAmazonが発行する請求書
課税事業者にとっては、Amazonに支払う手数料に含まれる消費税を仕入税額控除の対象にできるかが実務上の論点です。Amazon公式ヘルプは、AmazonのFBA手数料に係る消費税は控除の対象となり、控除の適用を受けるには、Amazonがセラーセントラルで提供している請求書を保存しておく必要があると説明しています。
| 項目 | Amazon公式ヘルプの記載(2026年9月時点) |
|---|---|
| ダウンロード場所 | セラーセントラルの「レポート」から「タックス関連文書ライブラリ」 |
| 書類の種類 | 「手数料明細書」から適格請求書、「出品者手数料負担額通知書」から適格返還請求書をダウンロードできる |
| 対象期間 | 2023年10月1日以降のトランザクションに適用 |
| 記載の単位 | 日割の明細を表示せず、1行で1か月分を発行。内訳はペイメントレポートで確認する |
| 含まれる料金の例 | FBA関連の請求書にはFBAサービス料金とFBA手数料、出品サービスの請求書には月額登録料とAmazon手数料 |
| ダウンロードできる期間 | Amazonにより発行されたインボイスは10年間ダウンロード可能 |
| Amazonの登録番号 | T3040001028447 |
請求書の金額は実際の取引日、ペイメントレポートの金額は支払い日に基づくため、両者が一致しない場合があるとも案内されています。帳簿と突き合わせるときは、この時点差を前提にしてください。ポイントやギフトカードは支払い方法、プロモーション割引は販売価格からの直接控除という扱いで、いずれもインボイスには反映されません。
なお国税庁は、簡易課税制度や2割特例・3割特例を適用する場合、納付税額の計算にあたってインボイスの入手や保存は必要ないが、所得税等の観点からは従来どおり領収書や請求書などの保存が必要だと説明しています。手数料の種類と水準はFBA手数料の全体像で整理しています。
小規模事業者向けの制度:簡易課税・2割特例・3割特例
登録して課税事業者になる場合、納税額と事務負担を抑える制度が用意されています。適用できる期間が限られているものがあるため、期限は必ず国税庁の原文で確認してください。
| 制度 | 対象と内容 | 期間・手続き |
|---|---|---|
| 簡易課税制度 | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に事業区分ごとのみなし仕入率を乗じた金額を仕入税額として控除する | 原則として適用を受ける課税期間の初日の前日までに選択届出書を提出。選択すると原則2年間は継続適用 |
| 2割特例 | インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった事業者が、納付税額を売上税額の2割にできる | 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間 |
| 3割特例 | インボイス発行事業者の登録により課税事業者となった個人事業者で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合に、納付税額を売上税額の3割にできる | 令和9年分・令和10年分の申告 |
簡易課税のみなし仕入率は、国税庁タックスアンサーNo.6505によると、第1種事業(卸売業)90%、第2種事業(小売業等)80%、第3種事業(製造業等)70%、第4種事業(その他)60%、第5種事業(サービス業等)50%、第6種事業(不動産業)40%です。自分の販売がどの事業区分に当たるかは、仕入れと販売の形によって変わり得るため、税務署か税理士に確認してください。
3割特例は令和8年度税制改正で設けられたもので、国税庁「令和8年度税制改正特集」と2割特例 特設ページに概要があります。2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税へ移る場合は、その課税期間の申告期限までに届出書を提出すれば適用を受けられる移行措置も設けられています。また、免税事業者が令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者になれる経過措置があります。
あわせて、国税庁の各ページには、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられる旨の注記があります。食品を扱う出品者は、国税庁の「消費税率引下げ特設サイト」で届出や計算方法の特例を確認してください。
利益計算で消費税をどう見るか
国税庁タックスアンサーNo.6303のとおり、消費税と地方消費税を合わせた税率は、標準税率10%、軽減税率8%です。課税事業者になると、販売価格に含まれる消費税の一部が自分の利益ではなく納付する税額になるため、利益計算の前提が変わります。
考え方を単純な例で示します。標準税率の商品を税込11,000円で販売した場合、売上げに係る消費税額は1,000円です。2割特例を適用できる場合の納付税額はその2割の200円、3割特例なら300円です。簡易課税で仮に第2種事業(みなし仕入率80%)に該当する場合は、1,000円から800円を控除した200円が納付税額になります。
一般課税の場合は、仕入れやAmazon手数料に含まれる消費税額を、インボイス等の保存を前提に差し引いて計算します。これは仕組みを示すための計算例で、実際の申告額は取引全体で計算します。
- 免税事業者の間は、税込の販売価格と税込の仕入れ・手数料で利益を見る
- 課税事業者になる見込みが立ったら、納付税額の見込みを費用として利益計算に織り込む
- 価格改定や仕入れ基準の見直しは、課税事業者になる課税期間が始まる前に済ませる
1商品ごとの手数料込みの利益はFBA利益計算機で確認できます。計算の考え方はFBAの利益計算、目標とする利益率の置き方はAmazon出品の利益率で解説しています。中古品を仕入れて販売する古物商の場合は、帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられる「古物商特例」が関係することがあります。許可の要否はAmazon物販と古物商許可を確認してください。
ここまでの内容は、国税庁とAmazon公式の公開情報を整理したものです。登録の要否、簡易課税の選択、事業区分、経理方式などの個別の判断は、所轄の税務署または税理士に相談して決めてください。Amazon公式ヘルプも、同ページの内容は税務のアドバイスではなく、詳細は税理士等に確認するよう明記しています。
- Amazon出店ロードマップで、いま自分がどの段階かを確認する
- カテゴリ別の売れ筋×推定月販で、参入するカテゴリの需要を見る
- FBA利益計算機で、仕入れ前に手数料込みの粗利を出す
よくある質問
Q. 免税事業者のままでも、Amazonで販売を続けることはできますか?
A. Amazon公式ヘルプは、登録番号を取得していない出品者もインボイス制度の施行後、引き続きAmazonで販売できると説明しています。免税事業者の登録と番号の入力は任意です。ただし法人や個人事業主の購入者は仕入税額控除のために適格請求書を必要とするため、そうした購入者に選ばれにくくなる可能性がある点も案内されています。
Q. Amazonの販売手数料やFBA手数料のインボイスは、どこで入手できますか?
A. Amazon公式ヘルプによると、セラーセントラルのレポートからタックス関連文書ライブラリを開いてダウンロードします。手数料明細書から適格請求書、出品者手数料負担額通知書から適格返還請求書を取得できます。請求書は1行で1か月分の発行で、Amazonが発行したインボイスは10年間ダウンロード可能とされています。
Q. 2割特例はいつまで使えますか? その後はどうなりますか?
A. 国税庁によると、2割特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間に適用できます。その後、個人事業者については令和9年分と令和10年分の申告で納付税額を売上税額の3割とする3割特例が設けられています。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどの要件は、国税庁のページで確認してください。
Q. ビジネスアカウントではない一般の購入者も、インボイスを受け取れますか?
A. Amazon公式ヘルプによると、すべての購入者は、適格請求書発行事業者登録番号を正常に登録した出品者から商品を購入した場合、購入後に注文履歴からインボイスをダウンロードできます。一方、登録番号に関するバッジや検索フィルターは、Amazonのビジネスアカウントの購入者にのみ表示されると案内されています。
Q. 基準期間の売上が1,000万円以下なら、必ず免税事業者になりますか?
A. 必ずではありません。国税庁によると、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者選択届出書を提出している場合、資本金1,000万円以上の新設法人などは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務が免除されません。判定に迷う場合は税務署に確認してください。
Q. 複数の出品用アカウントがある場合、登録番号はどう入力しますか?
A. Amazon公式ヘルプは、すべての出品用アカウントが1つの会社に属している場合、すべてのアカウントに同じ適格請求書発行事業者登録番号を入力するよう案内しています。あわせて、正式名称または販売業者名と会社住所が、国税庁のサイトに登録されている情報と同じであることを確認するよう求めています。
参考文献・出典
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)[令和8年4月1日現在法令等] - 国税庁, 2026年9月閲覧
- No.6501 納税義務の免除[令和8年4月1日現在法令等] - 国税庁, 2026年9月閲覧
- No.6505 簡易課税制度[令和8年4月1日現在法令等] - 国税庁, 2026年9月閲覧
- No.6303 消費税および地方消費税の税率[令和8年4月1日現在法令等] - 国税庁, 2026年9月閲覧
- インボイス制度について(インボイス制度特設サイト) - 国税庁, 2026年9月閲覧
- 令和8年度税制改正特集(インボイス制度特設サイト) - 国税庁, 2026年9月閲覧
- 2割特例 特設ページ - 国税庁, 2026年9月閲覧
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問113(令和8年4月改訂) - 国税庁, 2026年9月閲覧
- インボイス制度導入(2023年10月1日開始)への対応について - よくある質問 - Amazonセラーセントラル ヘルプ, 2026年9月閲覧
※本記事はAmazon公式・所管官庁の公開情報を2026年9月21日時点で整理したものです。手数料・基準・法令は改定されるため、申請や判断の前に必ず出典元の公式ページで最新の内容をご確認ください。税務・法務の個別判断は税務署・所轄官庁・専門家にご相談ください。