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Amazon物販の開業届・確定申告の基本|申告が必要な基準と帳簿のつけ方

公開 2026年9月21日 / 最終更新 2026年9月21日 / なんぼなん?編集部

Amazon物販の税務は、「確定申告が必要か」「事業所得か雑所得か」「開業届と青色申告承認申請書をいつ出すか」の3点を先に決めると整理できます。会社員の副業であれば、給与以外の所得(売上から必要経費を引いた金額)が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になり、20万円以下でも住民税の申告は別に考える必要があります。青色申告特別控除は65万円・55万円・10万円の3段階で、複式簿記の記帳や期限内申告などの要件を満たせるかどうかで金額が決まります。この記事は国税庁・e-Gov法令検索・Amazon公式ヘルプの公開情報(2026年9月時点)を整理したもので、個別の税務判断は所轄の税務署または税理士に確認してください。

確定申告が必要になる基準を副業・本業で分けて確認する

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得と税額を計算して確定させる手続です。申告と納付の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までとされています(国税庁 No.2020 確定申告)。

会社員などの給与所得者は、年末調整で所得税が精算されるため原則として申告は不要です。ただし、Amazon物販のような給与以外の所得がある場合は、次の基準に当てはまると申告が必要になります(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人・令和8年4月1日現在法令等)。

立場確定申告が必要になる主な場合確認先
給与を1か所から受けている会社員(副業)給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える国税庁 No.1900
給与を2か所以上から受けている人年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超える国税庁 No.1900
給与の年間収入金額が2,000万円を超える人副業の所得の大小にかかわらず申告が必要国税庁 No.1900
物販を本業とする個人事業主(給与なし)その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、計算した税額が配当控除額などを超える国税庁 No.2020

ここで注意したいのは、20万円の基準が売上ではなく所得で判定される点です。事業所得・雑所得ともに、総収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得になります(国税庁 No.1500 雑所得)。売上が大きくても仕入や手数料を引いた所得が基準以下になることもあれば、その逆もあるため、まず帳簿で所得を計算できる状態にしておくことが前提になります。

また、20万円以下で申告不要となる人でも、医療費控除などの還付申告をする場合には、その20万円以下の所得も併せて申告する必要があると国税庁は説明しています(国税庁 No.1900 Q&A 確定申告を要しない場合の意義)。「20万円以下なら常に書かなくてよい」という規定ではない点を押さえてください。

所得20万円以下でも住民税の申告は別に確認する

20万円基準は所得税の確定申告に関する取扱いで、住民税(市町村民税・道府県民税)の申告は地方税法で別に定められています。地方税法第317条の2第1項は、納税義務者に対し3月15日までに市町村長へ申告書を提出することを求め、給与支払報告書が提出されている給与所得者については「前年中において給与所得以外の所得を有しなかったもの」などを提出不要としています(e-Gov法令検索 地方税法)。

つまり、副業の所得がある会社員は、所得税の確定申告が不要な年でも住民税の申告が必要になるのが原則的な読み方です。一方、所得税の確定申告書を提出した場合は、その日に住民税の申告書が提出されたものとみなされます(地方税法第317条の3第1項)。

事業所得と雑所得の区分の考え方

国税庁は、フリマアプリ、ネットオークション、ネット通販、転売などの収入について「原則、事業所得又は雑所得(業務)として確定申告が必要」と案内しています(国税庁 こんな収入の申告漏れにご注意)。Amazon物販の所得も、このどちらかに区分して申告することになります。

どちらに当たるかについて、所得税基本通達35-2の注書は次の考え方を示しています(国税庁 所得税基本通達 法第35条関係)。

区分によって使える制度が変わります。青色申告ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得のある人とされており(国税庁 No.2070 青色申告制度)、雑所得の金額の計算上生じた損失は他の所得と損益通算できません(国税庁 No.1500)。

雑所得(業務)として申告する場合にも書類の保存義務があります。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は現金預金取引等関係書類の保存が必要で、1,000万円を超える人は確定申告書に収支内訳書などの添付が必要です(国税庁 No.1500)。

自分の物販がどちらに当たるかは、規模・継続性・記帳の状況などを踏まえた個別判断になります。この記事では断定せず、判断に迷う場合は税務署の相談窓口か税理士に確認することをおすすめします。

開業届と青色申告承認申請書の提出期限

個人が新たに事業を始めたときの代表的な届出と期限は、国税庁が一覧で示しています(国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など・令和8年4月1日現在法令等)。物販で関係しやすいものを抜き出すと次のとおりです。

届出書等内容提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)新たに事業を開始したときなどの手続事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書青色申告の承認を受ける場合の手続原則、青色申告をしようとする年の3月15日まで。その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始等の日から2か月以内
青色事業専従者給与に関する届出書家族への給与を必要経費に算入する場合算入しようとする年の3月15日まで(1月16日以後開業の場合はその日から2か月以内)
所得税の棚卸資産の評価方法の届出書在庫の評価方法を選ぶ場合事業を開始した日の属する年分の確定申告期限まで

開業届の提出期限は、国税庁の手続案内でも「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」と記載されています(国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。古い解説記事と期限の記載が異なる場合があるため、提出前に必ず国税庁の最新ページで確認してください。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日が期限になります。

実務上は、青色申告承認申請書の期限のほうが先に来る点に注意が必要です。年の途中で開業した場合、開業から2か月の期限を過ぎるとその年分について青色申告の承認を受けられなくなるおそれがあるため、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出するのが安全です(国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続)。いずれも提出先は納税地の所轄税務署で、e-Taxでも提出できます。

なお、アカウント開設そのものの手順はAmazon出品アカウントの登録手順で、中古品を仕入れて販売する場合に関係する許可は古物商許可のガイドでまとめています。

青色申告特別控除の金額と要件

青色申告特別控除は、要件に応じて65万円・55万円・10万円のいずれかを所得金額から差し引ける制度です(国税庁 No.2072 青色申告特別控除・令和8年4月1日現在法令等)。

控除額主な要件
55万円事業所得などを生ずべき事業を営み、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書などを添付して確定申告期限(翌年3月15日)までに申告する
65万円55万円の要件を満たしたうえで、仕訳帳と総勘定元帳の電子帳簿保存、またはe-Taxによる確定申告書等の提出のいずれかを行う
10万円上記の要件に該当しない青色申告者

現金主義による所得計算の特例を選択している人は、55万円の控除を受けられません。また、所得金額が控除額より少ない場合は、その所得金額が限度になります。税制改正により金額や要件が変わることがあるため、申告する年分に対応した国税庁のページを確認してください。

帳簿書類の保存期間も決まっています。青色申告者の帳簿・書類は原則7年間(請求書・見積書・納品書・送り状などは5年間)の保存とされています(国税庁 No.2070)。白色申告者にも記帳と保存の義務があり、収入金額や必要経費を記載した帳簿は7年、請求書・納品書・領収書などの書類は5年の保存が必要です(国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度)。

物販の帳簿で押さえる項目

事業所得の金額は「総収入金額 − 必要経費」で計算します(国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ)。Amazonからの入金額は手数料などが差し引かれた後の金額なので、入金額をそのまま売上にするのではなく、商品売上と手数料を分けて記録すると、この計算式に沿った帳簿になります。勘定科目の選び方は会計ソフトや税理士の方針に合わせてください。

項目記録のポイント根拠・確認元
売上(収入金額)入金日ではなく「収入すべき権利の確定した金額」で計上する。12月に売れて翌年1月に入金された分は、売れた年の収入になる国税庁 No.2200
Amazonの販売手数料・FBA手数料売上から差し引かれて入金されるため、レポートから金額を拾って経費として記録する期間別レポートの「出品手数料」「FBA手数料」
送料・梱包資材仕入時の送料、FBA納品時の配送料、出品者出荷の配送料を区別して記録する国税庁 No.2210
仕入仕入先・日付・金額を取引ごとに残す。請求書・納品書・領収書を保存する国税庁 No.2080
期末棚卸(在庫)売上原価 = 年初の棚卸高 + 年間の仕入高 − 年末の棚卸高。売れ残りの仕入額はその年の経費にならない国税庁 青色申告の決算の手引き

必要経費に算入できるのは、売上原価や、その年に生じた販売費・一般管理費などで、その年の12月31日までに債務が確定しているものです(国税庁 No.2210 必要経費の知識)。家事と共用の支出は、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分だけが必要経費になります。

物販で見落としやすいのが期末棚卸です。国税庁の青色申告の決算の手引き(一般用)は、年末に商品などの数量を実地に調べて棚卸表を作成するよう求めています。評価方法を税務署に届け出ていない場合は、年末に一番近い時期の仕入単価に年末の数量を掛ける最終仕入原価法で評価します。手元の在庫に加えて、FBA倉庫に預けている在庫の数量も年末時点で把握しておく必要があります。

FBA在庫にかかる保管コストはFBA在庫保管手数料のガイド、手数料の全体像はFBA手数料の解説で確認できます。

セラーセントラルで取得できるレポート

帳簿の元データは、セラーセントラルのペイメントレポートから取得できます。Amazon公式ヘルプによると、ペイメントレポートは「レポート」タブの「ペイメント」から開き、アカウントの概要、注文ごとの振込額・手数料・調整額の確認、選択した期間の全トランザクションのダウンロードができます(Amazonセラーセントラル ペイメントレポート・2026年9月時点)。

年間の集計に使いやすいのが期間別レポートです(Amazonセラーセントラル 期間別レポート・2026年9月時点)。

  1. セラーセントラルのメニューから「ペイメント」→「レポートリポジトリ」を開く
  2. レポートの種類として、概要レポート(PDF)またはトランザクションレポート(CSV)を選ぶ
  3. 「月」または「期間を指定」で対象期間を選ぶ(過去の日付は最長365日間のレポートを作成できる)
  4. 「レポートをリクエスト」をクリックする(作成には最大3時間かかる場合がある)

トランザクションレポートには、商品売上、配送料、プロモーション割引、出品手数料、FBA手数料、トランザクションに関するその他の手数料、その他、合計といった項目が含まれます。売上と手数料が列で分かれているため、前の章の表の区分に沿って集計できます。

注意点として、レポートに表示される日付は「トランザクションがアカウントに計上された日付」で、注文日や出荷日とは一致しない場合があるとAmazonは説明しています。年末年始の取引をどちらの年に計上するかは、国税庁の示す収入の計上時期の考え方(国税庁 No.2200 収入金額とその計算)と照らして判断し、迷う場合は税理士に確認してください。

消費税・利益管理と相談先

消費税とインボイス制度(適格請求書発行事業者の登録や課税事業者の選択)は、所得税とは別に検討が必要です。詳しくはAmazon出品者のインボイス・消費税ガイドにまとめています。

申告のための帳簿と、日々の利益管理は目的が異なります。仕入れの判断段階ではFBA利益計算機で手数料込みの利益を試算し、考え方はFBA利益計算のガイドと利益率の目安で確認しておくと、年末に「売上はあるのに所得が残っていない」という事態を避けやすくなります。

税務の個別判断は、次の窓口に確認してください。

次の一歩: 数字で確かめる

よくある質問

Q. 会社員の副業でAmazon物販をしています。売上が20万円を超えたら確定申告が必要ですか。

A. 判定に使うのは売上ではなく所得です。国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる人は、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える場合に確定申告が必要とされています。所得は総収入金額から仕入や手数料などの必要経費を差し引いた金額なので、まず帳簿で所得を計算してください。

Q. 副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいのでしょうか。

A. 所得税の確定申告が不要になる場合でも、住民税の申告は地方税法で別に定められています。地方税法第317条の2は、給与所得以外の所得がなかった給与所得者などを申告書の提出不要としており、副業の所得がある場合は住所地の市区町村への確認が必要です。また、医療費控除などで還付申告をする場合は、20万円以下の所得も併せて申告する必要があると国税庁は説明しています。

Q. 開業届はいつまでに出せばよいですか。

A. 国税庁のタックスアンサーNo.2090と手続案内A1-5では、個人事業の開業届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています(令和8年4月1日現在法令等)。一方、青色申告承認申請書は、その年の1月16日以後に開業した場合は事業開始の日から2か月以内が期限です。青色申告を希望するなら2つを同時に提出するのが安全です。

Q. Amazon物販の所得は事業所得と雑所得のどちらになりますか。

A. 一律には決まりません。所得税基本通達35-2の注書は、事業所得と認められるかどうかを、その活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとしています。また、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得に該当する点に留意するとされています。個別の判断は税務署や税理士に確認してください。

Q. 年末に売れ残った在庫の仕入代金は、その年の経費にできますか。

A. 国税庁の青色申告の決算の手引きでは、売上原価は年初の棚卸高に年間の仕入高を加え、年末の棚卸高を差し引いて計算するとされています。年末に残っている在庫の分は売上原価に含まれないため、その年の必要経費にはなりません。年末時点で手元とFBA倉庫の在庫数量を調べ、棚卸表を作成して保存しておく必要があります。

Q. 確定申告用の売上や手数料のデータは、セラーセントラルのどこで取得できますか。

A. Amazon公式ヘルプによると、ペイメントのレポートリポジトリから期間別レポートを作成できます。概要レポート(PDF)とトランザクションレポート(CSV)があり、月単位または期間指定で、過去の日付は最長365日間のレポートを作成できます。トランザクションレポートには商品売上、配送料、出品手数料、FBA手数料などの項目が含まれます(2026年9月時点)。

参考文献・出典

※本記事はAmazon公式・所管官庁の公開情報を2026年9月21日時点で整理したものです。手数料・基準・法令は改定されるため、申請や判断の前に必ず出典元の公式ページで最新の内容をご確認ください。税務・法務の個別判断は税務署・所轄官庁・専門家にご相談ください。